市況動向

銅事情 11月号

2023年11月07日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 日銀が31日に公表した金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中で、2023年度から2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度対比の上昇率見通しをそれぞれ上方修正した。特に2024年度の上昇率が大きく、足元の原油価格上昇などを踏まえ、前回7月の公表値であるプラス1.9%から2.8%への大幅な引き上げだった。尚、2023年度は前回の2.5%から2.8%に、2025年度は同じく1.6%から1.7%。
 今回も物価見通しは引き上げられたが、物価固有のリスク要因として2つをあげる。第1のリスクとしては、企業の賃金・価格設定行動をあげ、上下双方向で不確実性が高いとした。今後の原材料コストの上昇圧力や企業の予想物価上昇率の動向次第では価格転嫁が想定以上に続くことで、物価が上振れる可能性が有り、逆に日本社会に賃金・物価が上がりにくいことを前提にした慣行や考え方が定着していることを踏まえると、来年以降は賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価が下振れる可能性もある。先行きは「賃金と物価の好循環が強まっていくかを注視していくことが重要」とした。第2のリスクとしては、為替相場の変動や国際商品市況の動向、およびその輸入物価や国内価格への波及をあげた。こちらも上振れ・下振れ双方の要因となる。世界経済の先行き等を巡る不確実性が高く、国際商品市況を大きく変動させる可能性があり、世界的なインフレ率の高止まりや為替相場の変動といった点も含め、それらのわが国物価に及ぼす影響について、注視していく必要がある。
 金融政策運営については、内外の経済や金融市場の不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形での2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指し、「物価安定の目標」を安定的に持続するために、必要な時点まで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続、マネタリーベースについては、コアCPIの前年比上昇率の実績値が、安定的に2%を超えるまで拡大方針を持続し、企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要となれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとした。

<銅事情>

 10月の銅価格は、初日と月末等4日間を除き、終値8,000ドル割れで推移し、前月末対比193ドルの下落となった。5日まで4日間続落し、7,800台となったが、9月米雇用統計が予想を上回り、中国の国慶節明けで取引が戻った事などで、9日には8,000ドルを回復。その後は、景気刺激策による中国の経済成長への楽観と、中東紛争の懸念など強弱材料が入り交じり、7,800ドル~8,000ドルのレンジで推移した。10月末のLME銅価格は8,038ドル、10月平均のLME銅価格は7,940ドルとなった。
 10月のLME銅在庫量は、前月末対比で3.0%の増加となった。初日、9月末から微減の168,000トンとなった後、19日までは増加傾向で23,000トン増加し、191,000トンとなった。しかし、20日以降は減少を続け17,000トン減少し、10月末のLME銅在庫量は、174,400トンとなった。
 10月の国内銅建値は、9月末からプラス2万円の128万円/トンでスタートし、4日にマイナス4万円の124万円/トン、6日にマイナス2万円の122万円/トン、12日にプラス1万円の123万円/トン、19日にプラス1万円の124万円/トン、25日にプラス1万円の125万円/トンとなり、10月平均の銅建値は、124.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 5月:118.2万円/t 6月:124.0万円/t 7月:124.7万円/t 8月:126.6万円/t 9月:127.8万円/t 10月:124.2万円/t。
 2023年11月の国内銅建値は、10月末から2万円/トン上げの127万円/トンでスタート。



過去の銅事情